大学生活にも徐々に慣れてきた5月。あすかは授業に熱心に取り組んでいた。しかし、航空宇宙学科の専門科目は予想以上に難解だった。特に力学の授業では、複雑な数式に頭を悩ませる日々が続き、課題にレポートとてんやわんやな毎日を過ごしていた。
「どうしてこの理論になるのだろうか。どうしても理解できない…。」あすかはノートを前に溜息をついた。隣の席の高木君は、難なく問題を解いている姿を目にし、焦りが募る。
そんな時、高木君が話しかけてきた。「大月さん、物理学の講義ノート見せてもらってもいい?色使いや書き方が綺麗でとてもわかりやすいんだ。」意外な言葉に、あすかは驚きを隠せなかった。
ノートを借りて高木君は、大月さんは物理の本質を捉えているなと感じ思わず微笑んだ。
「今度一緒に勉強しない?分からないところがあるからお互いもっと理解が深まると思うんだよね。」その提案に、あすかは勇気づけられた。2人で問題に取り組むうち、少しずつ解法の糸口が見えてきた。
「高木君、ありがとう。一緒に勉強をして自信が持てるようになったよ。」あすかは心から感謝した。
一緒に勉強した後から、あすかは力学の課題に没頭した。高木君との議論を思い出しながら、再び物理学の問題に挑む。夜が更けるまで粘り強く取り組んだ結果、あすかはついに解答にたどり着いた。
「努力すれば、道は開ける。」あすかは確信した。
おじいちゃんへの手紙に、その思いを綴った。
「難しい授業も、仲間と助け合えば乗り越えられる。今日の経験で、それがわかったよ。」あすかは力強く書き記したのだった。
つづく。